3年3組はスリザリン

今日は少し昔のことを書いてみようと思う。

 

 

僕は親の仕事の都合で3歳からしばらくアメリカに住んでいた。帰国し、日本の学校に通い始めたのは小学校3年生のときだ。

 

 

最初は帰国子女ということで物珍しく見られた。ちょうどハリーポッターが上映されたタイミングで、クラスメイトから

 

ハリーポッターって発音良く言ってみて!

 

などよく言われた。

 

 

ヒャリーパルー

 

なんて答えるとめちゃくちゃ盛り上がった。

 

ちょろいもんである。メガネの魔法少年の名前を呼ぶだけでどっかんどっかんウケるのだ。

 

ロンウィーズリーって発音良く言ってよ!

ネビルロングボトムって言ってみて!

 

要求はどんどんエスカレートしていく。

みんなどうやらグルフィンドールが好きらしい。僕は登場人物の名前を連呼した。

 

ランウィーズリ

ネヴィルラングバルム

 

するとまたどっかんどっかん。ちょろいどころの騒ぎじゃない。

マクゴナガル先生ばりにグルフィンドールの周辺生徒の名前を連呼していく僕。ウケる会場。

 

そのとき一人のお調子者が尋ねた。

 

じゃあルーモスは!?

 

 

 

 

 

 

ルーモス!!???

 

あの杖の先が豆電球みたいになって周りを照らせるあのちょい便利呪文ルーモス?? 

なぜ登場人物から急に呪文?しかもルーモスというC球呪文???

 

金色のガッシュベルでいうと、バオウザケルガには触れられず、第3の呪文・ジケルドくらいの位置付けである。急に絶妙なとこを突かれた。

 

周囲も、急に呪文かーいと少し盛り上がる。しかし変わらず僕に注目が集まる。

 

僕は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーモス…

 

 

 

 

 

 

 

 

彼はこう言った

 

 

 

 

 

 

 

いやルーモスだけ普通かよ!

 

※この普通かよ!っていうのは、お笑い芸人のノリとかでは全くない。「ちょっとちょっとちょっとぉ、最後ルーモスだけ普通じゃないですかーちょっと勘弁してくださいよー」(アンタッチャブルザキヤマで再生してほしい)みたいなノリでは全くなく、強いて例えるなら、朝家を出たらすぐにガムを踏んでしまった末に出てしまった一言「ここガム捨てたの誰だよ!(半ギレ)」くらいのテンションである。

 

 

ちょっとキレられたのである。

 

どうやら僕の回答は彼の期待してたものを上回ることができなかったらしい。

 

もしかしたら、チヤホヤされてる僕にいらついたのかもしれない。こう思ってたに違いない。

 

(こいつハリーポッターの登場人物を発音良く言うだけで周囲が湧くっていう無双状態入ってるやん。調子乗ってるやん。ばりだりい。いっちょ痛めつけてやろかな。みんながグリフィンドールの生徒の名前リクエストする中、ここで敢えてルーモスっていう日本語の発音もネイティブの発音もあまり変わらない単語言わせて、周りは「次はどんなネイティブ発音が出てくるんかな」ってなってるとこあえて白けさせよ。しかもみんなどんどん登場人物名言ってる中でおれだけルーモスって言ったら、いや急に呪文かーいみたいなって小笑いくらいいただけそう。うわー最高。いじわるしてやろ)

 

 

 

 

 

あなたの狙い通りです。

 

小3にしてとんだ策士である。前世は諸葛亮孔明なのか、もしくは諸葛亮の遠戚に違いない。

 

アメリカから帰国した若干8歳の調子乗りボーイを容赦無く潰す三国志の名軍師。

 

このルーモスの白けで、僕の発音無双は終わり、クラスメイトも離れていった。なんだ盛り上がらんな、と言いつつ。さーっと。

 

残酷ですよね。ノリって。

 

神輿の上に担ぎ上げられ、わっしょいわっしょい言うてたら、急に地面に叩き落とされる。しかも落差たぶん4階のベランダから飛び降りるくらい。全身骨折

 

その話を、少したった後担任面談で担任にしてみた。当時の悲壮感を再現し、なるべくリアルにこの有様を伝えた。すると、一言

 

 

 

 

 

 

いや、それは調子に乗ってた徳永くんがわるいよ。笑

 

 

...

どうやら、3年3組にはスリザリンしかいなかったようだ。

生徒先生全員意地悪である。