愛すべきダメ人間たち

人間には誰しも“ダメ人間”の資質があると思う。“カッコ悪い”がドロドロと。大きな違いは、それを人に見せるかどうか。ダメさを外に開示するかしないかは個人の自由なので、どっちのほうがいいという良し悪しはないと思うが、僕は前者のスタンスをとる人が無性に好きだ。

 僕の友達に(名誉のために実名は伏せてAとしよう)ものすごくダメなやつがいる。時間も守れないし、モノはなくすし、急に連絡が途絶えてしまう時がある。たまにちゃんと社会生活を送れてるんだろうかと心配にさえなる。毎回「本当にごめん!」と謝りながらも、また同じ(許容範囲内の)ミスを繰り返す。

そいつの話を他の友人にすると「ちゃんとビシっと言ったほうがいいんじゃない?」や「縁を切ったほうがいいよそういう人と」と言われることが多い。僕は「こんなやつがいてさ〜(にやにや)」という旨の話をしたいのに、どうやら本気で悩んでると思って老婆心的アドバイスをしてくれる。ごめん、そういうのじゃないんだ。

だいたい僕はAにとやかく言える資格はない。やるべきことを疎かにして留年するし、会社員生活だって3ヶ月ともたなかった。すぐ逃げた。いわゆる“ダメ人間”だと思ってる。Aと同じ部類。

Aはたしかに僕に迷惑をかけることが多い。でもだいたい僕の許容範囲に収まってくる。ちなみに僕もAに迷惑を多々かけている。トントンだ。

ちなみに僕は彼の「ダメさを恥ずかしげもなく見せてくれる」ところがとても好きだ。見ていて気持ちがいい。それでいて、とてもいいやつ。

という話までセットですると「それはしげが自分よりダメなやつを見て安心したいだけだよ」と言われた。惜しい。どちらかというと「ダメさを露呈し合えて安心」だな。「お前ダメだな〜」「いやお前もやろ!」みたいなことを言い合える関係のノンストレスっぷり。最高です。

僕はこういう友達が欲しい。人間として僕を魅了してファンになってしまうような友達。まだまだ何人もいる。べつに人に大きな迷惑をかけてないからいいんじゃないか。かけてしまったなら、後から挽回すればいいんじゃないか。

ちなみに面白いことに、ダメ人間の友達にはデキる人が多い。一見矛盾するように見えるが、休日の昼間から酒飲んで「俺はダメだ〜」とか言い合ってる友達が、会社で成果を出してたりする。会社を作って、順調に業績を伸ばしてたりする。自分のダメさを理解していてここがダメでもうどうしようもないから、他の得意なところ伸ばそうという思考になるんだと思う。あと、どこまでもとことん正直なのだ。その人間らしさが人を惹きつけてる。

何事においても平均的な“ちゃんとした人間”よりもいびつな“ダメ人間”が僕は好きです。だいたいちゃんとした人間てなんだ。もっとダメなとこ見せていこうぜ〜。